暴走をもたらした「共感」8 2023/02/20 『音楽や共食、そして共同の子育てといったものは、共感力をさらに高めて、動物にはない自己犠牲の精神、自分が犠牲になっても集団のために尽くしたい、仲間を喜ばせたい。そういう気持ちを芽生えさせたのではないかと思われるんです。共感力によって共同体の結束を強めた人類は、アフリカ大陸を出て、ユーラシアや新大陸、オーストラリア大陸の多様な環境へ足を伸ばすことができたんです。 ところが共同体の結束を強める共感というものが、あるとき暴走して、それが戦争につながるようなことになりました。そのきっかけは約10万年前に登場した「言葉」だろうと思います。』 家族や共感するコミュニティが形成され、集団の規模も高まり、さらに集団同士の中に他の集団とのトラブル。その原因が言葉の進化だと指摘しています。脳の発達、コミュニケーションの発達、しかし反面そのことを外に向ける暴走に繋がり、争いへと繋がることになったと推察されています。 よく、連帯感とか一体感という言葉を学校生活や部活動にて耳にしますよね。指導者が命令してやらせても一体感は表面的であって、本来の共感にはつながりにくい。やはりそこは心がどう共感しているかによると思います。だからこそ表面上ややらされるばかりの集団では窮地には弱いことになる。共同体の結束は共鳴しての共感にあると。いずれにせよ、言葉による共感の暴走はヒトの歴史を大きく変えます。