Ⅱ 令和の日本型学校教育 6 2023/07/11 1.幼児教育の質の向上について (3)幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上 ①処遇改善をはじめとした人材の確保 ○子供の育ちを巡る環境の変化等に対応しながら,質の高い幼児教育を推進するためには,教職員の資質向上と優れた人材を計画的に確保することが必要である。 ○このため,処遇改善等の必要な施策を引き続き実施するとともに,地方公共団体が主導して幼児教育関係団体や幼稚園教諭の教職課程を有する大学等と連携し,新規採用の促進,離職防止・定着促進,離職者の再就職の促進といった総合的な人材確保策を推進していくことが必要である。 多様化する子ども達や保護者に寄り添うためには、多様なスタッフの拡充が必要であり、より専門的知識を習得して子どもたちを支援していかなければならない時代です。そのために、職員の数の拡充は最低限で、より専門性を高める研修会や知識の向上、負担の軽減と専門的な立場を確立し、配置だけでなく、より処遇面の改善が求められます。現在の国の配置基準だけでは質の高い保育の実現とはなりません。教員もそうですが、福祉施設等の従事者の社会的地位の向上、さらなる処遇の改善(配置基準の見直しと給与、拘束時間)、業務負担軽減など徹底した改善がなければ従事者不足は改善されず、そのことは児童生徒、園児の保育の質の向上が見込めないのです。預け側だけでなく預かり受け手側の改善も子どもまんなか社会においては重要な要素なのです。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 5 2023/07/10 1.幼児教育の質の向上について (2)幼児教育の内容・方法の改善・充実 ④特別な配慮を必要とする幼児への支援 ○障害のある幼児等の将来的な自立と社会参加を見据えた一人一人の教育的ニーズを把握した早期発見・早期支援が重要であることから,幼児教育施設における特別支援教育の充実,それを支える関係機関・部局と連携した切れ目ない支援体制整備が求められている。 ○このため,特別支援教育に関する教職員の資質向上のため,幼児期の特性を踏まえた研修プログラムの作成,障害のある幼児等の受入れに当たっての体制整備の在り方や指導上の留意事項等の整理等に関する検討を進めることが必要である。 ○また,国際化の進展に伴い,海外から帰国した幼児や外国人幼児の増加が見込まれ,小学校進学時に学校生活に円滑に適応できるよう,幼児教育施設を活用し,幼児やその保護者に対する日本語指導,就学ガイダンス,就学相談等の取組を充実することが重要である。 ○さらに,幼児期の特性を踏まえた研修プログラムの作成,幼児教育段階における指導上の留意事項等の整理等に関する検討を進めるとともに,外国人のための就園ガイドの作成等を行い,多言語での就園・就学案内を推進する。 幼児教育の場においては、特別支援クラスを準備することは珍しく、配慮の必要な子どもに対してもむしろ一緒に過ごす中で成長を促すことがなされます。これは、インクルージョンといった考えによるものです。生活自体は一緒に行い、援助の必要な場面で支援をしていく、さらには療育施設等を利用しながら、連携をとり、その子一人一人の特性に応じた支援がなされています。また、国際化を踏まえ、ICTを活用しながら、翻訳機を使うなど体制強化もさらに必要な時代になっています。習慣の違いや食生活も違います。不安を取り除き、子ども一人一人の成長を支援していくことを大切にしていかなければなりません。だからこそ一斉かつ一方的な幼児教育・保育では寄り添うことができなくなってきています。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 4 2023/07/07 1.幼児教育の質の向上について (2)幼児教育の内容・方法の改善・充実 ③教育環境の整備 ○幼児教育の質の向上を図るためには,資質・能力を育む上で効果的な環境の在り方について検討を行い,その改善及び充実を図ることが必要である。 ○幼児期は直接的・具体的な体験が重要であることを踏まえ,ICT等の特性や使用方法等を考慮した上で,幼児の直接的・具体的な体験を更に豊かにするための工夫をしながら活用するとともに,幼児教育施設における業務のICT化の推進等により,教職員の事務負担の軽減を図ることが重要である。 ○また,幼児教育施設においては,事故の発生・再発防止のための取組を推進するとともに,耐震化,アスベスト対策,防犯,バリアフリー化,衛生環境の改善等の安全対策を引き続き行うことが必要である。 まずは多様な役割を担う職員の配置が必要なのではと思います。そのうえで教職員の負担を軽減したうえで、質の向上を図るべきICT化などでさらに効率化を図る必要があるのでしょうね。幼児教育では、もちろん幼児にタブレットを使わせることが目的ではなく、活用して画像でしか見ることができない、例えば海の中や宇宙空間とか、身近には植物の成長を早送りで確認できたりなど様々な活用をして行けそうに感じます。さらには指摘されているように事務の負担軽減にも活用していけそうです。もっともっと推進していく必要がありますね。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 3 2023/07/06 1.幼児教育の質の向上について (2)幼児教育の内容・方法の改善・充実 ②小学校教育との円滑な接続の推進 ○幼児教育施設で育まれてきた資質・能力を,小学校教育を通じて更に伸長していくためには,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手掛かりに,幼児教育施設と小学校の教職員が子供の成長を共有するなどの連携を図るとともに,小学校ではスタートカリキュラムも活用しながら幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化を図る必要がある。 ○幼児期から小学校への教育的なつながりを確保するためには,園長・校長のリーダーシップの下,幼児と児童の交流だけでなく,幼児教育施設と小学校の教職員が,両者の教育について理解を深め,また,両者が抱える教育上の課題を共有しておくことが重要であり,幼児教育施設と小学校の教職員の合同研修等の継続的な実施や,人事交流,相互の派遣研修等の推進が必要である。 小学校との円滑な接続は課題です。市町村によっても大きな差があるのが現状です。年1回の幼保小中連携時間は45分の授業の様子を見るだけと45分程度の意見交換連絡会では一人一人の子どもの様子を伝えることは困難です。保育要録というものがあり、子どもの姿をお伝えする資料をお渡ししても何か課題や事案がない限り目に留まらないのではないかとも思います。これによって受け手側の型にはまらない生徒はどう捉えられているのかと不安になることもありますが、家庭環境や生育状況をしっかりとらえて支援があって学びに結びつくといった保育所的な考えだけではいけないのでしょう。多忙な先生たちの学校とのつながりを具体的に進めていく必要があります。随分と昔から言われている合同研修会、人事交流、派遣研修。我々保育の現場の先生においても教員免許を持つ職員も多く出てきましたが、学校の先生たちに的確なお伝えができるよう保育現場の質の向上も必要です。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 2 2023/07/05 1.幼児教育の質の向上について (2)幼児教育の内容・方法の改善・充実 ①幼稚園教育要領等の理解推進・改善 ○幼児教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っており,幼稚園教育要領等に基づき,各園の創意工夫を生かした質の高い教育の実践が求められている。 ○そのためには,新幼稚園教育要領等の趣旨や内容について,関係者の理解を深め,新幼稚園教育要領等の実施状況や成果等の把握,調査研究や好事例等の情報提供を通じて,幼児教育施設における教育内容や指導方法の改善及び充実を図る必要がある。 ○また,幼児教育施設では,環境を通して行う教育を基本としていることから,環境が子供の発達にとってどのような意味があるのかといった環境の教育的価値について研究を積み重ねていくことが重要である。 公文書ってとても難しいですね。幼稚園教育要領等の理解推進・改善とあるのは、幼児教育を行っている幼保連携型認定こども園教育保育要領も含むことを示しています。整合性を取っている保育所保育指針も含むことも示していることとなります。所管が違うのでこのような表現になるのでしょう。ただし、これが、やはり満3歳児からとしてとることなのか、その礎となる3歳未満児の保育こそ大切であり、3歳以上児でいろいろと能力を発揮するには、基礎を育む0~2歳の時期の養護と教育・保育を伴う保育がとても大切なのです。大切にされ尊重されることが重要です。 環境においても物的環境、人的環境を考える必要があります。突然集団生活を始めると、子どもにとっては相当なストレスになるのです。3歳未満児で小さな集団の経験があるかどうか、友達との関わりがどの程度深まっているかによって違いが出てきます。もちろん施設に通っていなくとも支援センターや周りの兄弟児など子ども同士での関係性の礎は、経験があるかないかによって違いは出てくると感じています。環境設定についても人的環境において、初めから大きな集団だけではなく、グループや異年齢での人的環境を組み合わせて取り組むことで個々の活動の支援となることが示唆されていることから、活動に応じた人的環境などの工夫が必要なのです。