暴走をもたらした共感 1 2023/02/09 『そもそも共感というのは、群れの中で個々の人々が結びつきを高めて、助け合って力強い社会を作るために、不可欠なものだった。共感を高める行動というのは、実は人間だけではありません。ゴリラやチンパンジーという人間に近い霊長類にも、そのほう芽になるような行動が認められます。その代表的な例は、「食べ物を分配する」という行為なのです。例えばニホンザルは同じ霊長類でも、食べるときはみんなバラバラになるのです。それは、けんかを防ぐためです。食べ物の前で鉢合わせしてしまったら、強い個体が独占してしまう。弱い個体は、食べられなくなってしまう。でもゴリラやチンパンジーは、時折ですけれども、強い者が持っている食べ物に、体の小さいメスや子どもたちが寄ってたかって集まってきて、「ちょうだい」をするのです。そうすると、体の大きなゴリラやチンパンジーは、しぶしぶその食べ物を仲間に取らせてやるという行為が見られます。その結果、お互い向かい合って、一緒に食べるということが生まれます。これは、何かに似ていませんか?私たち人間が毎日のようにやっている「食事」という行為なのです。』 大分の高崎山でもニホンザルの同じような光景を目にしたのを覚えています。飼育員さんがリヤカーを勢いよく引っ張り餌をまく。サルは一斉に寄って来て、えさをほおばり、ばらばらに散らばり食べていました。皆が見える場所に飼育員がピーナッツを1つ杭の上におくとボスザルやってきてゆうゆうと口にほおばったことを思い出しました。格差社会、分配しない、そして共食はしない。ゴリラは分配するんですよねー。ヒトと同じ。分配、分かち合いによって人類は生き延びてきたことが分かります。争わない。