MENU CLOSE
TEL

園からの発信

保育の質の確保・向上9

2025/12/11

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育所保育の営みの持つ特徴)

〇子どもを中心に置き、現場における保育実践の中で生じる様々な相互作用、保育所と家庭・地域・社会の関わり、さらにこれらの時間的経過を俯瞰的に捉えた上で、保育所保育の営みが持つ特徴や課題とされること等に関する議論の内容を検討した結果、「総合性・一体性」「個別性・応答性」「連続性」の3つの視点を切り口として、以下のように整理された。

〇総合性/一体性:保育所保育においては、乳幼児期の子どもとその発達の特性に基づき、子どもへの援助や保育の環境、子どもの経験、育みたい資質・能力などを、いずれも実践場面では様々な要素が分かちがたく結びついて成り立つものとして捉え、保育が行われている。特に「養護と教育の一体性」は、保育所保育の特性として、保育所の制度的な位置づけに関する議論とも連動する形で早くから議論が重ねられ、今日多くの保育関係者に自明のこととして受け止められている。一方で、こうした総合性・一体性に基づく保育の具体的な実践に関しては、それをどのように意識化・言語化するかということとあわせて模索が続くとともに、現場によっては未だ理解の不足や混乱が見られる場合もあるなど、現状においても課題があることが指摘された。

保育の質の確保・向上8

2025/12/10

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景)

〇こうした乳幼児期の発達の特性とその後の学びや生活へのつながりを踏まえ、保育において子どもの発達をどのように支え促していくかということについては、幼児教育のあり方をめぐる議論と重なるところが大きい。我が国における幼児教育の文脈では、子どもの自発性を尊重することと保育者の教育的な意図を実現することの関係を一つの主軸として議論が重ねられてきた。「環境を通して行う」ことなど幼児期の教育が持つ特色に関して、現場の中でも、また家庭や社会、小学校に対しても、どのように理解を共有し具体的な実践や小学校教育との接続等を考えていけばよいのか、様々な検討や取組が行われてきた経緯がある。

〇これらの理念・思想や研究の進展を踏まえた子どもとその育ちを捉える視点は、保育所保育指針の策定及び各改訂(定)時に記載内容へ反映されてきた。同時に、保育所保育指針の変遷からは、時代とともに社会全体と家庭の生活の中で生じる様々な課題やニーズに応じて、保育所に求められる役割や機能が拡大・変容してきたことも読み取ることができる。保育所保育指針の策定及び改訂(定)の経緯を通して、保育所保育が社会や家庭との関係の中で常にそのありようを問われ続けているものであることが改めて示された。

保育の質の確保・向上7

2025/12/09

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景)

〇保育所においては、児童福祉施設としての理念と使命のもと、乳幼児期の子どもが日々生活する場として、その心身の健全な発達を図る目的から、発達研究の理論・知見や幼児教育の考え方も踏まえ保育が行われている。これら保育所保育と深い結びつきをもつ児童福祉、発達研究、幼児教育の各領域における子どもとその育ちの捉え方には、時代とともに新たな視点が加わったり転換が図られたりしてきた。

〇児童福祉の観点では、今日、子どもは単に大人によって保護されるべき対象としてではなく権利の主体として捉えられている。1994(平成6)年に批准された児童の権利に関する条約の精神に則り、我が国における児童福祉の理念として、全ての子どもは適切な養育を受けることや健やかな育ちと自立が図られること等を等しく保障される権利を有する存在とされ、その福祉については子どもの最善の利益を優先して考慮し、保護者と共に社会全体で支えていくことが求められている。

〇また近年、人の発達について遺伝的影響など生物学的・医学的基盤に関する科学的な解明が進む一方で、発達を捉える理論的な枠組みにおいては、個人の能力の発現や変化にのみ着目するのではなく、個人の生得的要因とその人を取り巻く対人的・物理的・社会文化的環境とが相互的・複層的に様々な影響を及ぼし合う中で成り立つものとして見ることに重点が置かれている。発達の道筋についても、膨大な要因が複雑に影響し合い変容が生じる過程の全体に目を向けることで、ある程度の範囲では方向性や順序性を共有しつつも、人それぞれに相当な多様性があるものとして捉えられるようになっている。

〇さらに、発達研究の進展により、乳幼児期の発達において身近な他者との愛着関係が極めて重要であること、社会情動的な側面や認知的な側面など発達の各側面が密接に関係しており、特に子どもは人との日常的な関わりや遊びの中で学ぶことが非常に多いという特徴があることなどに関して、実証的な知見が蓄積されてきた。

保育の質の確保・向上6

2025/12/08

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

〇日本の保育所保育の特色に関して、その背景や拠りどころとなっていることを、時代による変遷・経緯も含めて探ることを目的に、学識経験者による研究グループを編成し、保育・児童福祉・幼児教育・発達心理学等の領域を専門とする学識経験者と保育実践経験者からヒアリングを行い、保育の制度や実践に関わる理念・思想とその歴史的経緯、乳幼児期の発達や学習、保育の実践の質向上に向けた現場の取組や保育者の意識等に関する知見を得た。これらの内容は語り手の主観的な視点を切り離すことができないものである点を考慮した上で、研究グループによる検討を加え、保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景、保育所保育の営みが持つ特徴、保育実践に携わる立場から捉えた保育という3つの観点から整理・再構成を行った。

保育の質の確保・向上5

2025/12/05

2.調査研究等により得られた主な知見

(1)諸外国における保育の質をめぐる動向

〇各国の保育の評価をめぐる課題や動向を通じて、

①各現場の現状や課題を把握して改善を図り一定の質を確保するとともに、それぞれの実態に即して創意工夫を活かした実践の豊かさを捉え、さらなる充実を促す評価の仕組み

②評価に対する負担感や評価の形骸化を避け、現場の保育者にとって効力感や納得感の得られる評価の方法

③評価の妥当性や信頼性を確保するための評価者の立場・専門性と評価のプロセス

④保護者や自治体担当者、小学校教師など多様な関係者が保育実践と子どもの育ちを理解することに資する評価の内容・結果の提示や活用の仕方といった観点から、評価のあり方を検討する必要性が示された。

〇これらのことを踏まえ、今後日本においても、指針・カリキュラムに示される保育の基本的な考え方がより広く浸透するとともに、それが現場において各々の実情に即して実践と着実に結びつくよう、保育の質の確保・向上に関わる評価等の取組とそれを支援する仕組みの構築・展開を検討していくことが重要とされた。またその際、特に必要と考えられる課題として、多様な関係者が参画し共に考える仕組みづくりや、現場と協働的な関係のもとで保育の質を継続的に捉え支えていく人材の育成・供給といったことが挙げられた。

top