保育の質の確保・向上28 2026/01/15 4.まとめと今後の展望 (1)本検討会における保育の質に関する考察 (保育の質の基本的な考え方) 〇本検討会における一連の議論を踏まえて、保育所等における保育の質は、子どもの経験の豊かさと、それを支える保育士等による保育の実践や人的・物的環境からその国の文化・社会的背景、歴史的経緯に至るまで、多層的で多様な要素により成り立つものであり、以下の点を念頭に置いて捉えることが重要と考えられる。 ・常に「子どもにとってどうか」という視点を中心とすること ・一定の基準や指標に照らして現状を確認し、必要な改善を図り、全ての現場において保障されるべき質と、実際の子どもの姿や保育実践の過程について対話を重ねながら意味や可能性を問い、追求していく質の両面があること ・「その時、その場」の状況とともに、日・月・年など様々な時間の流れや現場の内外における多様な関係の中で捉えること ・現場、運営主体、地域、国の保育の質に関わる様々な仕組み・取組のありようを、個々に見るだけでなく、相互の関連などを含めて全体的に見ること
保育の質の確保・向上27 2026/01/14 (3)保育実践の質の確保・向上に向けた取組のあり方 (地域の取組と全国的な取組の連動) 〇現場や子どもの実情と保育の基本的な考え方がより密接に結びつき、現場の保育士等をはじめ多くの関係者に広く共有されていくために、各現場が参画する地域的な取組と全国的な取組とが連動しながら展開されていくことが重要である。現場の保育士等と地域の研究者や学識経験者等が協同的に保育の質の確保・向上に関わる取組を実施したり、実践について検討したりする機会を持つとともに、そうした各地の事例や意見等を基にした全国的な協議が行われることが求められる。 〇自己評価ガイドラインの見直しに際しての試行検証を一例に、国や自治体による指針やガイドライン等に関する周知や理解の共有と、現場や地域における実態の把握や実践的な取組等の成果の集約・共有が、継続的・循環的に行われる仕組みの構築が重要と考えられる。 熊本大会リーフレット 大会要項 宮崎 202601
保育の質の確保・向上26 2026/01/13 (3)保育実践の質の確保・向上に向けた取組のあり方 (実践の質の向上を支える地域の人材の確保・育成) 〇各現場において保育実践の質の確保・向上に向けた取組を進めていくに当たって、現場を外部から支援する人材が地域の資源として存在することは非常に重要である。こうした支援の担い手として、現場での豊かな実践の経験を有する保育士等や保育士養成施設の教員等が考えられる。現状では、既にこのような支援者を配置している地域もある一方で、担い手となりうる人材を探すことが難しい地域もあるなど、地域によって差が見られる。今後、各地域において現場の様々な取組の実施やそのための職場の環境づくりを支える人材の確保・育成を進めていく必要がある。 〇こうした外部からの現場への支援に際しては、支援者側の保育観や経験のみに基づいて課題を指摘したり改善を指示したりするのではなく、その現場の保育士等及び組織全体の自らの保育に関する気づきや理解を引き出すような働きかけがなされることが重要である。それぞれの現場の実情や保育の流れなどを理解した上で、その保育所あるいは保育士等にとって何が必要かという視点から共に考えるという支持的・協同的な姿勢をもって支援が行われることが、現場において恒常的に自分たちの保育を振り返り、改善や充実を図っていこうとする意欲や意識が定着することにつながると考えられる。 〇支援者の役割としては、個々の保育士等と継続的に関わりながら専門職としての成長を支えていくことや、地域内で公開保育等の取組の企画運営や調整を行うことなども考えられる。各地域の実情に即して、地域全体としての取組の中核的な役割を担う人材を活用していく仕組みづくりが求められる。
保育の質の確保・向上25 2026/01/09 (3)保育実践の質の確保・向上に向けた取組のあり方 (多様な視点を得るための「開かれた」取組の実施) 〇各現場の課題に関しては、第三者評価等により外部からの指摘があって気がつく場合もあるが、公開保育等により他の現場の実践や取組に直接触れることで、自分たちで気がつき改善へとつなげていくこともある。また、自分たちの保育を他の保育所の保育士等にも開いて語り合うことを通して、課題だけでなく良さも含めて新たな気づきを得ることもある。現場間で互いに保育を見合い、対話する機会を持つことは、保育の質の確保・向上に向けて各現場が自律的に取組を進めていく上で有効と考えられる。 〇各現場における様々な取組の方向性をより確かなものにし、保育士等による子どもの理解や保育実践の改善・充実に向けた検討を深めたり広げたりしていく上で、保護者、地域住民、学識経験者、保育実践経験者、地域の専門機関等の関係者といった多様な立場からの視点を得ることも有用である。その際、子どもにとってどうかという視点を中心に置き、多様な文脈の中での保育の過程を共に見ていくことが重要である。様々な関係者とともに保育を多角的・多面的に捉え、継続的に保育について対話を重ねていく機会をつくっていくことが求められる。
保育の質の確保・向上24 2026/01/08 (3)保育実践の質の確保・向上に向けた取組のあり方 (組織及び地域全体での取組の実施) 〇こうしたことを踏まえ、今後より各自治体や団体等による地域全体での取組の推進と現場への支援体制の充実を図っていくことが求められる。同時に、施設の種別や運営主体の別を超えて、地域において保育所保育指針等に関する共通理解を図り、各々の実情に即した具体的な実践やマネジメントのあり方を学び合うことのできる互恵的なネットワークを構築していくことが重要である。 〇その上で、地域において、現場、自治体の保育部局、保育関係団体、保育士養成施設等が協同し、様々な取組を連関させながら推進していくことは、個々の取組の実効性を高めていくことにつながると考えられる。自己評価ガイドラインの見直しに際しての試行検証を一例として、自治体が現場や地域の関係者と連携しながら、外部研修等による協同的な学びと各現場の実践とがより密接に結びついたものとなるような仕組みを構築していくことが求められる。またその際、自治体の保育担当部局と幼児教育担当部局の間においても連携が図られることが重要と考えられる。各地でこうした協同的な取組が実施され、さらにそれぞれの地域における成果が地域間で互いに共有されることを通じて、広域的に展開していくことが期待される。