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園からの発信

保育の質の確保・向上14

2025/12/18

(1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色

(児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育)

〇保育における「遊び」の重要性:「遊び」の目的は、遊ぶこと自体にある。このことを前提とした上で、乳幼児期の子どもが自ら心のままに思う存分周囲の人や事物との多様な関わり合いを楽しむことには、心身の健全な発達に重要な体験が非常に多く含まれていることから、保育所保育において遊びは重要な学びとして捉えられる。子どもは、信頼する身近な大人の存在に支えられて、自分を取り巻く環境に興味や関心を抱き、自分でしてみたいという思いを強める。そして、心身全体を働かせて環境と関わり合い充実感を味わうことを通じて、自分の世界を広げ、様々な力を身につけていく。とりわけ、他の子どもに興味や親しみを感じ、一緒に遊ぶようになり、さらにその遊びが発展していく過程では、子ども同士が相互に影響を及ぼし合い、心身の様々な面で育ち合う姿が見られる。このため、保育所保育における子どもの発達の援助に当たっては、遊びを中心に子どもの活動が豊かな広がりと深まりを持って展開されることが重視される。

〇個に応じた保育の必要性:乳幼児期は特に発達が著しく、また個人差も大きいことを踏まえ、保育に当たっては、平均的な、あるいは一律の発達の姿を前提とした対応ではなく、一人一人の個性や発達の過程を尊重した関わりや配慮が必要となる。保育所における集団生活の中で、それぞれの子どもが自分を肯定する気持ちを十分に育むことができるよう、個々の子どもの理解に基づく保育を行うことが重要である。

〇同年代の子どもたちが日々共に過ごすことの意義:保育所は、同年代の子どもたちが共に生活時間の大半を過ごす場であり、多くの家庭や地域で子ども同士が日常的に関わり合う機会が減少している今日、保育所において子どもたちが集団で様々な経験を共にすることの意義は大きい。保育士等には、集団全体の状況を捉え、全ての子どもにとって安全で安心して過ごせる環境をつくり出すとともに、子どもが他の子どもの存在や自分との違い、共にいることの楽しさなどに気がつき、仲間としての意識や友達関係が育まれていくよう、子ども同士のやりとりや活動の展開を促す関わりや配慮を行うことが求められる。

保育の質の確保・向上13

2025/12/17

3.本論

(1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色

(児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育)

〇保育所は、生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な乳幼児期の子どもの福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場であることが求められる児童福祉施設である。これを踏まえ保育所保育は、入所する子どもの最善の利益を考慮し、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。保育士等には、保育所における日々の生活や遊びの中で子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、一人一人の思いや願いを受け止めるとともに、子どもの主体的な活動を重視し、計画的に環境を構成することや応答的に関わることが求められている。

保育の質の確保・向上12

2025/12/16

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育実践に携わる者としての保育観)

〇保育所保育において、職員の間に互いに支え高め合う関係性が築かれることが、保育者の成長と園全体の保育の質の向上に大きく関わることが改めて明らかとなった。さらに、こうした職場環境の醸成に向けて、職員間の対話や働き方のマネジメント、園内研修や園外における学びの機会が求められており、その実現には特に施設長の果たす役割が大きいことが指摘された。一方で、様々な職員がいる中で施設長が自身の思いや考えを伝え職員全体と方向性を共有し、組織をつくりあげていくことの難しさや、研修機会の確保の厳しさ等の課題も挙げられた。

〇一連の成果のまとめとして、今後、保育所保育のあり方とその質について考えていく上で、保育に関わる理念や研究から理論的に導かれる知見と、実践における保育者の体験や実感の両面を照らし合わせながら検討することが極めて重要であることが提言された。

保育の質の確保・向上11

2025/12/15

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育実践に携わる者としての保育観)

〇保育実践や保育所の運営に携わってきた立場の方々によって語られた内容を統合・整理した結果として、保育者の保育所保育や保育の仕事に携わるということに対する思い・考えと、それらの形成や変化に大きく関わり保育者としての成長を支える同僚・施設長との関係性や職場環境の重要性が示された。それぞれの語り手固有の経験に基づく内容であるため、必ずしも保育者の意識や経験に関する全容の把捉や一般化ができるものではないが、多くの経験を重ねてきた保育者たちによる語り全体を通して、保育所保育のありようを捉える上で、個々の保育者にとっての実体験が持つ意味を考慮することの意義が提示された。

〇保育者は、子どもとの出会いや、職場の同僚や保護者との関わりの中で、子どもを一人の人間として尊重することの大切さや保育の面白さを実感し、保育という仕事に自身の生きがいや役割、社会的な使命や価値を見出していく。一方でその過程では、「『母性』が求められる職業」、「ただ子守をするだけ」「子どもと『遊んで』いるだけ」といった、保育所保育への社会的な理解や認識の不足、保育の仕事への低い評価に対する葛藤や、自身の保育者としての力量に関する自信の喪失、人間関係やライフステージの変化に際しての家庭生活との両立など一人の人間としての悩み等、様々な困難にも直面する。多くの場合、それらを乗り越える上で特に大きな支えとなった存在として、職場の上司や先輩・同僚が挙げられた。

〇周囲の人との出会いや関わりに支えられて保育の仕事を続ける上での困難を乗り越える体験は、保育者としての成長やアイデンティティの形成につながる一つの転機ともなっていた。また、こうした体験を経てキャリアを重ね自身の専門性を高めようとしていく中で、保育所保育の社会的な発信や保育者の地位向上といったことも意識されるようになり、園全体や地域、さらにより広い範囲で保育の質の向上を進める主導的な立場を担うようになる姿も見られた。

保育の質の確保・向上10

2025/12/12

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育所保育の営みの持つ特徴)

〇個別性/応答性:保育の現場では、一人一人の意思や人格を尊重するという根幹的な理念が、実際の子どもとの関わり合いを通じて保育者自身の子どもや保育に対する思いにもつながっている。また、発達の個人差が特に大きい乳幼児期に、多様な子どもが集団で日々生活を共にし、育ち合う場として、保育者には個に応じた関わりや配慮が求められる。その上で、保育者が子どもの理解に基づく見通しや意図を持ちながら、子どもの体験が主体的・自発的なものとなるよう、応答的に保育が展開されていくことが重視される。現場の実践において、保育は保育者と子どもが共につくっていくものであるという理解を広く共有していくことの重要性が改めて示された。

〇連続性:保育所保育と子どもの育ちを、一日の生活や日々の経験、生涯にわたる発達、時代など様々な時間軸における連続性や、家庭と保育所・地域・社会といった子どもの暮らしとそれを取りまく場全体の面的なつながりの中に位置づけて捉えることにより、現代における保育所保育の多層的な意義や重要性とともに、環境が大きく変わる移行期の保育や家庭との連携及び子育て支援など、今後さらに検討が必要になると考えられる課題が示唆された。子どもとともに保育所も様々な関係の網の目の中にあり、社会全体で急速かつ大きな変容が進む中で、常に理念に立ち戻りつつも、現状と実態に即して保育所保育の実践のありようを考えていくことの必要性が指摘された。

 

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