子どもの成長144 2026/10/08 親の身体活動が子どもの食習慣に影響 親の職業上の身体活動と子どもの食習慣の関係 母親の職業上の身体活動と子どもの食習慣の関係 職業上の身体活動が非活動的な母親では、子どもの揚げ物(β=0.470、p=0.017)、菓子類(β=0.554、p=0.005)、ファストフード(β=0.305、p=0.032)、赤身肉(β=0.496、p=0.961)の摂取量が多いという点で有意だった。 一方、職業上の身体活動が活動的な母親では、子どもの果物(β=0.398、p=0.013)、野菜(β=0.833、p=0.013)、乳製品(β=0.600、p<0.001)、揚げ物(β=0.442、p=0.013)、ソフトドリンク(β=0.313、p=0.039)、塩辛いスナック菓子(β=0.467、p=0.039)、赤身肉(β=0.645、p=0.011)の摂取量が多いという点で有意だった。 子どもの穀類の摂取量については、母親の職業上の身体活動量の多寡との関連はみられなかった。 父親の職業上の身体活動と子どもの食習慣の関係 職業上の身体活動が非活動的な父親では、子どもの果物(β=0.524、p=0.011)、野菜(β=0.670、p=0.010)、菓子(β=0.504、p=0.043)、ソフトドリンク(β=0.549、p=0.001)の摂取量が多いという点で有意だった。 一方、職業上の身体活動が活動的な父親では、その身体活動量と子どもの食習慣との間に有意な関連がみられなかった。
子どもの成長143 2026/10/07 親の身体活動が子どもの食習慣に影響 特に母親との関連が強く、活動の種類で摂取食品が変化 親の身体活動が子どもの食習慣に影響を与えていることを示す研究結果が報告された。親が行っている身体活動の種類、つまり、就労に伴う身体活動、スポーツとしての身体活動、余暇での身体活動によって影響が異なり、かつ、母親と父親の身体活動は、それぞれ異なる影響を及ぼしているという。 子の食習慣は親の食事・身体活動習慣に左右される。では、親の身体活動習慣の影響は? 子どもの食習慣に影響を与える要因として、家庭環境と身体活動という二つが重要という考え方があり、それを示唆する研究報告は少なくない。さらに、親の身体活動習慣と子どもの食習慣との関連を示した研究結果も報告されている。ただし、それらの研究の大半は、親の身体活動を総活動量のみで評価している。 一方、身体活動と食習慣との関連は、身体活動の種類によって異なることが明らかにされてきている。例えば、余暇時間の身体活動は果物の摂取量の多さと関連しているが、職業上の身体活動はそうでないといった報告がある。よって、親の身体活動が子どもの食習慣に及ぼす影響も、親がふだん行っている身体活動の種類によって異なる可能性も考えられる。ただし、そのような視点での研究はこれまで報告されていない。 親がどのようなシーンで身体活動を行っているかで、子どもの食習慣との関連が異なる 今回取り上げる論文の研究は、ブラジルのサンパウロでソーシャルメディアやチラシ配布によって募集された473人が参加した。その内訳は、6~17歳の子どもが192人(女子39.6%)で、その母親が163人、父親が118人。 子どもの食習慣は、食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaire;FFQ)で把握し、親の身体活動の種類や量は、ベッケ習慣的身体活動質問票(Baecke Habitual 、Physical Activity Questionnaire;BH、PAQ)で把握した。BH、PAQでは、職業上の身体活動、スポーツとしての身体活動、および余暇時間での身体活動という3種類の身体活動について、1~5点のリッカートスコアで回答を得て活動量を評価する。 解析に際しては、BH、PAQスコアの三分数で3群に分類し、最高三分位群をその種類の身体活動が活発な群、最低三分位群をその種類の身体活動が不活発な群と定義して比較した。また、共変量として、子どもの年齢、性別、加速度計で把握した身体活動量、世帯の社会経済的状況を考慮した。 なお、研究参加者の主な特徴は以下のとおり。数値はすべて中央値(四分位範囲)。 子どもは、年齢10(8~14)歳、BMI 18.8(16.4~21.4)、中~高強度身体活動(MV、PA)192.5(115.5~303.0)分/週。母親は42(37~45)歳、BMI 25.7(23.4~29.6)、MV、PA 71.5(36.3~140.0)分/週。父親は44(40~47)歳、BMI 28.5(25.8~32.2)、MV、PA 137.0(66.3~222.0)。
子どもの成長142 2026/10/06 ヒップホップダンスは思春期女子の「運動ぎらい」を変える? 運動能力、身体活動習慣、身体活動の楽しさの評価方法 運動能力の評価には、学齢期の子どもの微細運動と粗大運動の能力を評価する標準化された指標である「運動熟練度検査 第2版(Bruininks-Oseretsky Motor Proficiency Test, Second Edition;BOT-2)」の短縮版を用いた。BOT-2短縮版では手先の器用さ、バランス能力などの8項目を評価する。 身体活動習慣の評価には歩数計を用い、介入前後の7日間計測。1日10時間以上記録のある日のデータのみを解析に利用した。 身体活動の楽しさの評価には、「身体活動の楽しみの尺度(Physical Activity Enjoyment Scale;PAES)」を用いた。PAESは8項目の質問に7段階のリッカートスコアで回答してもらい、スコア範囲は8~56点で、高スコアは身体活動の楽しみを強く感じていることを表す。 ヒップホップダンスの授業は思春期女子生徒の身体活動にプラスに働く 介入前の段階の比較で、手先の器用さ、走行速度・敏捷性にわずかな有意差が認められたが効果量は小~中であり、実際的な意義は限定的と考えられた。 14週間の介入後、両校の生徒の間に、いくつかの有意な違いが観察された。詳細は以下のとおり。 運動能力 運動能力は、両校ともに有意な時間効果が確認され、14週後には運動能力が向上していた(p<0.001)。さらに群効果も有意であり、介入校の生徒のほうが、運動能力がより大きく向上していた(p<0.001)。 運動熟練度検査 第2版(BOT-2)で評価された8項目のスコアの前後比較では、微細運動統合、両側協調運動、バランス、走行速度・敏捷性、上肢協調運動について、介入校のほうがより大きく向上していた。 身体活動習慣 1日の歩数は、介入群では介入前が7,183.68±1,974.45歩、介入後は7,745.13±2,135.72歩であり、対照群は同期間に7,324.15±1,622.44歩、7,488.78±1,655.92歩となっていた。介入群における歩数の増加幅は対照群より有意に大きかった(p=0.001)。 身体活動の楽しさ 身体活動の楽しみの尺度(PAES)のスコアは、介入群では介入前が28.92±8.32点、介入後は32.25±10.28点であり、対照群は同期間に28.17±9.21点、29.17±8.53点となっていた。介入群におけるスコアの増加幅は対照群より有意に大きかった(p=0.023)。 著者らは、「体系的なヒップホップダンス介入が、思春期女子の身体能力、身体活動レベル、そして身体活動の楽しさを有意に向上させることが実証された。本研究結果は、ダンスが従来の体育教育に代わる包括的、かつ意欲を高める選択肢となる可能性を浮き彫りにしている」と総括するとともに、「プログラムの効果を持続させるためには、文化的妥当性、プログラムの質、そして自己決定理論に基づいた教師の研修が重要と考えられる」と述べている。
子どもの成長141 2026/10/05 ヒップホップダンスは思春期女子の「運動ぎらい」を変える? 14週間にわたってヒップホップダンスを教える学校と教えない学校で比較 この研究は、トルコ国内の同地域にあり、保護者の社会経済的地位や教育歴が同等の公立学校2校の7年生(日本の中学1年生に相当)を対象に行われた。カリキュラムを変更するという研究デザインのため、無作為化は不可能であることから、2校のうち1校を介入校、他の1校を対照校とした。両校ともに、5年以上の経験をもつ体育とダンスの教師が雇用されていた。 介入校と対象校からそれぞれ96人の女子生徒が参加。介入期間中は両校とも通常の体育授業(45分を週2回)が行われ、介入校ではそれ以外に90分、週3回のヒップホップダンスの授業が行われた。 ヒップホップダンスの授業は指導効果を高めるために、約25人ずつの4グループに分かれ交替で行われ、同一のインストラクターが指導した。ダンスの振り付けには人気ミュージシャンやテレビタレントの動きを採り入れつつ、年齢に応じたアレンジを加えて生徒のスキルによらず参加しやすいものとした。また音楽は人気のヒップホップミュージックを教育用にアレンジして使った。 介入期間は14週間だった。
子どもの成長140 2026/10/02 ヒップホップダンスは思春期女子の「運動ぎらい」を変える? 運動能力、運動習慣、運動の楽しさが向上 中学校の体育の教育にヒップホップダンスを採用することで、女子生徒の運動能力が向上し、身体活動習慣が身に付き、身体活動を楽しいと感じるようになるとする研究結果が報告された。トルコからの報告。 思春期に運動ぎらいになりがちな子どもたちを、ヒップホップで運動好きにできるか 学校で行われる体育の授業は構造化された内容であり、子どもたちの運動能力を高め身体活動を増やすうえで、中心的な役割を果たしている。しかし、一般的なカリキュラムにおいて体育の時間は身体活動の推奨量を満たすのに十分でない。また、構造化された教育内容は、授業を受ける時点での運動能力が低い子どもたちを運動ぎらいにしてしまう可能性が指摘されている。とくに思春期の女子生徒は、ホルモン分泌の変化、ボディーイメージの形成などの影響もあり、この時期にスポーツから離れていく生徒が多い。 それに対して近年、からだを動かす楽しさを実感させるために、従来の授業の代替的な手法として、文化を取り入れた体育授業が模索され始めている。その一つの候補としてヒップホップダンスを採り入れる動きもある。ヒップホップダンスは競争的な要素が少ないという点で従来の競技スポーツ型の体育と異なり、気軽に参加しやすいという特徴がある。 ただ、これまでのところ、体育の授業にヒップホップダンスを採用することにより、生徒の身体活動量や運動能力にプラスの変化が生まれるかを検証する研究はほとんど行われていない。これを背景としてこの研究では、14週間のヒップホップダンストレーニングにより、思春期女子にそのような変化が生じるのかを検討した。