幼児教育の質の向上5 2026/01/29 3.幼児教育の実践の質向上 ○ 幼児教育の質の向上を目的とした近年の制度改正については、幼児教育施設における教育等の内容の基準である幼稚園教育要領(平成29 年文部科学省告示第62 号)、保育所保育指針(平成29 年厚生労働省告示第117号)、幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成29 年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)(以下「幼稚園教育要領等」という。)が平成29 年3月に告示され、子供に育みたい資質・能力等を共通化して明確にするなど、その内容について一層の整合性が図られたところであり、平成30 年度から新幼稚園教育要領等に基づいた現場での実践が始まっている。 ○ また、教師の資質向上については、平成28 年11 月に教育公務員特例法(昭和24 年法律第1号)及び教育職員免許法(昭和24 年法律第147 号)等の一部改正が行われ、幼稚園及び幼保連携型認定こども園を含む教師としての資質向上に関する指標が全国的に整備されるとともに、大学の教職課程の科目区分が大くくり化されるなど、新たな体制の構築が図られた。 ○ 一方で、急速な少子化の進行、家庭及び地域を取り巻く状況の変化等が複合的に絡み合い、幼児の生活体験が不足しているといった課題も見られる。各幼児教育施設においては、集団活動を通して、家庭や地域では体験し難い、社会・文化・自然等に触れる中で、幼児期に育みたい資質・能力を育成する適切な環境下での幼児教育の実践が求められている。 ○ こうした国の制度や施策、幼児教育施設を取り巻く現状を踏まえ、個々の教職員が、子供との直接の関わり合いをはじめ、幼児教育関係団体等とも連携・協力しながら幼児教育の実践の質向上に一層取り組んでいくことが重要である。
幼児教育の質の向上4 2026/01/28 2.幼児教育を巡る近年の政策の動向 ○ こうした幼児教育への重要性の認識の高まりから、近年、幼児教育・保育の無償化をはじめ幼児教育を巡る国の政策は大きな動きを見せている。平成27 年4月より、子ども・子育て支援新制度(以下「新制度」という。)がスタートした。新制度においては、幼稚園、保育所、認定こども園等のそれぞれの創意工夫を生かした良質かつ適切な教育・保育の提供体制を整備することとされ、実施主体である市町村は、域内の教育・保育について、一体的にその量の拡充・質の向上を図ることが求められている。国においては、引き続き、各年度の予算編成過程において、質の向上のための0.3 兆円超の財源確保をはじめとした、量の拡充・質の向上を図るための安定的な財源の確保に努めることが求められているところである。 ○ また、令和元年10 月1日から、急速な少子化の進行、家庭・地域を取り巻く環境の変化に鑑み、子ども・子育て支援を充実させる観点から、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化する、幼児教育・保育の無償化が実施されている。新制度により幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実を図ってきている中、幼児教育・保育の無償化は、子育て世代の経済的負担を軽減し、少子化対策にも貢献する意義を有するとともに、幼児教育を受ける機会を実質的に保障する意義を有していると言える。 ○ 幼児教育の重要性については、これまでも様々な場面で指摘がなされてきたところであるが、幼児教育分野に対する公的投資がこれほど大きくなった時代はなく、同時にそれに見合うだけの質の高い教育が提供できているのか、幼児教育の質の向上を求める声が強くなっていると言える。 ○ 平成31 年4月には、中央教育審議会は文部科学大臣から「新しい時代の初等中等教育の在り方について」の諮問を受け、同諮問の中では、「幼児教育の無償化を踏まえた幼児教育の質の向上」が審議事項の一つとして位置付けられている。
幼児教育の質の向上3 2026/01/27 Ⅰ.幼児教育の振興の意義及び今後の基本的な方向性 1.幼児教育の重要性 ○ 幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。平成18 年に全面改正された教育基本法(平成18 年法律第120 号)においては、こうした幼児教育の重要性が謳われ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならないとされた。 ○ 平成19 年には、学校教育法(昭和22 年法律第26 号)が改正され、幼稚園が学校教育のはじまりとして、小学校以降の教育との発達や学びの連続性が明確になるよう、各学校種の中で最初に規定されるとともに、教育基本法に教育の目的、目標及び幼児期の教育に関する規定が置かれたこと等を踏まえ、学校教育法の幼稚園の目的及び目標に関する規定が置かれた。そして、その目的としては、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものであることが明記されている。 ○ 諸外国においても、質の高い幼児教育を提供することで、忍耐力や自己制御、自尊心といった社会情動的スキルやいわゆる非認知的能力を育み、将来の生活に大きな差を生じさせる効果があるとの研究成果をはじめ、幼児教育への重要性についての認識が高まっている。
幼児教育の質の向上2 2026/01/26 はじめに 令和元年10 月1日より、幼児教育・保育の無償化がスタートした。同年5月に子ども・子育て支援法の一部を改正する法律(令和元年法律第7号)が成立し、消費税率引上げの財源を活用して、これまで段階的に進められてきた無償化の取組を一気に加速する形で実施されることとなった。この無償化の意義としては、少子化対策の必要性と並んで、幼児教育の重要性が掲げられているところである。 一方で、平成29 年3月には、子供の育ちをめぐる環境の変化等も踏まえながら、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が改訂され、平成30 年4月からこうした新幼稚園教育要領等を踏まえた現場での実践が行われている。 平成18 年の教育基本法の改正の際、幼児教育については、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることが規定され、以来、約10 年が経過した。幼児教育の重要性の認識の高まりと、それに伴う幼児教育の質の向上を求める声の高まりに対し、国、地方公共団体はもとより、幼児教育に携わる者の全てが協力し、取り組んでいくことが必要である。 本検討会は、こうした背景を踏まえ、幼児教育の実践の更なる質の確保・向上に関する方策等について検討することを目的に設置され、平成30 年6月に第1回を開催し、これまで9回にわたって、様々なテーマについて有識者へのヒアリングや議論を行ってきた。また、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の対象地域が本年4月に全国に拡大され、様々な施設が休業せざるを得ない状況が広まる中、本検討会においては、子供たちの心身の健全な発達に向けた家庭及び地域における教育の支援をはじめ幼児教育がその役割をしっかり果たしていくことについても議論したところである。これらを踏まえ、今般、これまでの検討結果について中間的に取りまとめることとしたものである。 本中間報告が、我が国の質の高い幼児教育の提供及び子供たちの健やかな成長を育む環境の一層の充実に向けた施策等の推進の一助となることを期待する。
幼児教育の質の向上1 2026/01/23 幼児教育の質の向上について (中間報告) 令和2年5月26日 幼児教育の実践の質向上に関する検討会 保育所等における保育の質の確保・向上に続くシリーズです。保育所と幼稚園における教育・保育は整合性が示されていますので、保育所において、未満児の保育以外は共通することが多く、と言いますか趣旨は同じはずなのです。 保護者の就労に関わらず教育が実施される場所であり、保育所保育指針、幼稚園学習指導要領、認定こども園における教育保育要領ははっきり言って同じで、同じでなければならないにもかかわらず、管轄等の違いや化石のように教育は3歳からとする教育論者の方々は、保育所における保育は、教育ではないとして認められません。幼稚園教育要領の表現は「保育をする」としています。このことはどうでもよいのですが、就学前の施設において三指針は表現は違えど、整合性がとられていることは事実なのです。 だからこそ幼稚園における幼児教育の質の向上について、前シリーズの保育所等における質の確保・向上と比較いただきたく、起稿をしてまいります。尚、平成27年度から待機児童解消を趣旨とした新たな保育制度が始まり3歳未満児を預かる地域型保育施設、企業主導型保育施設等の登場において、保育士資格以外の預かり施設もあり、そういった施設は指針には沿う必要もないとする預かり施設でありますが、保育施設と名乗られます。 教育・保育といった表現においては指針の整合性が図られ、指針に沿い、子ども達の健やかな成長を支え、小学校教育の前倒しではなく、礎を育む、探求心や人と関わる力などに軸足を置いた保育であります。三指針に沿わない施設は保育施設とは言えないのではと疑問があります。 ともあれ、幼稚園教育要領にも何と「保育する」と表記されており、幼児教育としてどんな質の向上を目指しているのかを見ていきましょう。