子どもの成長158 2026/10/29 アスリートの睡眠を改善する栄養戦略 キウイ、タルトチェリー、乳製品が有効である可能性 エリートレベルのアスリートの睡眠を改善するための栄養戦略に関する、スコーピングレビューの報告を紹介する。キウイフルーツ、タルトチェリージュース、および、女性では乳製品の摂取が、睡眠改善に最も効果的な可能性があるという。 回復戦略における睡眠と、睡眠をサポートするための栄養 アスリートにとりトレーニングや試合後の回復は、怪我のリスク抑制と質の良いトレーニングの継続のために必須であり、つまりはパフォーマンスの維持・向上に欠かせない。アスリートか否かを問わず、身体的・精神的疲労からの回復において、睡眠は極めて重要とされる。しかしアスリートは、早朝または夜間のトレーニング、試合前の精神的ストレス、遠征時の不慣れな環境などのため、睡眠の時間や質が阻害されやすい。それらは回復の遅延につながるだけでなく、試合の際のパフォーマンス低下にもつながり得る。 一方、食事・栄養が睡眠をサポートすることが広く認識されており、アスリートの睡眠改善を目的とした栄養戦略の研究報告も少なくない。ただし、エリートレベルのアスリートでのエビデンスは限られていることから、本論文の著者らはスコーピングレビューにより、現時点の知見の総括を試みた。 1970年以降の論文から12報を特定 本研究では、PRISMA-ScR(システマティックレビューとメタ解析のための優先報告事項のスコーピングレビュー用拡張版)、およびJBI(スコーピングレビューの標準化マニュアル)に準拠し、NUQUESTによりバイアスリスクを評価しつつ、P2P(Paper to Podium)により実用的なエビデンスを特定した。文献検索は、PubMed、ScienceDirect、Scopus、SPORTDiscus、Google Scholarで行われ、1970年から2024年12月4日までに収載された文献を対象とし、またハンドサーチにより関連論文の検索漏れを確認した。 包括基準は、18歳以上の健康なエリートアスリートを対象として、食事と睡眠の関連を無作為化比較試験、クロスオーバー試験、前後比較試験、観察研究などにより検討した研究であり、査読システムのあるジャーナルに英語で掲載された論文とした。メタ解析、レビュー論文、ケーススタディ―、論説、学会発表などは除外した。 1,903報がヒットし、タイトルと要約に基づくスクリーニング、全文精査を経て、12件の研究報告が抽出された。このうち7件は栄養介入を行い睡眠関連アウトカムへの影響を検討し、5件は食事・栄養摂取習慣と睡眠関連指標との関連を検討していた。 論文では、潜在的な有効性の高いものを3項目特定し、中程度の潜在的有効性と判定したものを6項目、有効性が不確かなものを1項目特定して、それらの評価の根拠を示している。またそれらのエッセンスが表形式でまとめられており、本稿ではその部分のみ紹介する。