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2025年 3月

教育振興基本計画29

2025/03/07

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の方向性)

○児童生徒に対する生徒指導は、学習指導と並んで、共生社会実現に向けた資質・能力の育成に重要な意義を有するものである。児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され、その過程を学校や教職員が支えていくという発達支持的生徒指導を重視していくことが求められる。また、児童生徒が将来において社会的な自己実現ができるような資質・能力・態度を形成するように働きかけるための教育相談も、生徒指導と一体化させ、全教職員が一致して取組を進めることが求められる。

○コロナ禍によりその機会が減少した様々な体験活動(自然体験活動、社会体験活動、文化芸術活動等)は、自己肯定感や協調性、主観的幸福感など、ウェルビーイングの向上に資するものであって、体験を通して他者と協働することにより共生社会の実現にもつながる意義を有するものであり、その機会の充実を図っていくことが求められる。また、児童生徒等の心身の健やかな育成に向けた学校保健、食育、スポーツ活動、豊かな感性を育む読書活動の推進も重要である。

○あわせて、個人と社会のウェルビーイングの実現の観点からは、保護者や地域住民等が学校運営に当事者として参画するコミュニティ・スクールや、地域住民等の参画により地域と学校が連携・協働する地域学校協働活動を一体的に推進するとともに、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チームの活動を推進していくことが効果的である。高等教育段階では地域連携プラットフォームなどの枠組みを活用することにより、大学と地域との協働を進めていくことが求められる。学び手、学校、保護者・地域住民等が「三方よし」となり、それぞれのウェルビーイングが高まるよう三者が一体となって取組を推進することが求められる。

 

食育推進施策の基本的枠組み 87

2025/03/07

(2)都道府県等における取組

第12回東京都食育フェアの様子

各都道府県等でも歯科口腔保健における食育の推進に関する取組が行われており、厚生労働省では、「8020運動・口腔保健推進事業」を通じて都道府県等の取組への支援を行っています。この中で、噛み応えのある料理を用いた噛むことの大切さの教育や、食生活を支える歯・口腔の健康づくりについての歯科医師・栄養士などの多職種を対象とした講習会、バランスの良い食事をとるための歯、舌、口唇等の口腔機能に関する相談に対応できる歯科医師の養成など、食育に関わる事業も実施されています。

東京都では、食育への理解や意識の向上を図るため、令和元(2019)年11月9日、10日に「第12 回東京都食育フェア」を開催し、2日間で39,785人が来場しました。テントブースや特設ステージでは食育団体や企業等による様々な催しが行われ、厚生労働省が出展した咀嚼力判定ガムの体験ブースでは、よく噛むことで色が変わるガムを用いて、体験者に噛むことの重要性について意識啓発が行われました。

 

 

食育推進施策の基本的枠組み 86

2025/03/06

第3節 歯科口腔保健における食育推進

(1)国における取組

平成21(2009)年に、厚生労働省において開催された「歯科保健と食育の在り方に関する検討会」で、「歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング30(カミングサンマル)を目指して~」」が取りまとめられました。この報告書において、全ての国民がより健康な生活を目指すという観点から、一口30回以上噛むことを目標として、「噛ミング30(カミングサンマル)」というキャッチフレーズを作成するとともに、食育推進に向けた今後の取組として、各ライフステージにおける食育推進の在り方、関係機関や関係職種における歯科保健と食育の推進方策、新たな視点を踏まえた歯科保健対策の推進等について提言がなされました。

また、食を通して健康寿命を延伸するためには、乳幼児期から高齢期に至るまで、噛む・飲み込むなどの機能を担う歯や口の健康が重要です。このため、厚生労働省では、平成23(2011)年に公布・施行された「歯科口腔保健の推進に関する法律」(平成23年法律第95 号)に基づき、平成24(2012)年に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」(平成24 年厚生労働省告示第438号。以下「基本的事項」という。)を制定し、乳幼児期から高齢期までの各ライフステージの特性に応じた歯科口腔保健を推進しています。この「基本的事項」において、食育と関連の深い口腔機能の維持・向上についての目標が設定されており、平成30(2018)年度には、これらの目標についての中間評価が取りまとめられました。

さらに、平成元(1989)年から推進している「8020(ハチマル・ニイマル)運動」は、全ての国民が健やかで豊かな生活を過ごすため、80歳になっても20歯以上保つことを目標としており、8020達成者の割合は、5年に一度実施している歯科疾患実態調査の結果によると、昭和62(1987)年の7.0%から平成28(2016)年には51.2%へと上昇しています。なお、「健康日本21(第二次)」では、歯・口腔の健康に関する目標として、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加に加え、60歳において24歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加が設定されており、この割合は平成17(2005)年の60.2%から平成28(2016)年には74.4%へと上昇しています。

令和元(2019)年11月2日には、厚生労働省、福島県、郡山市(こおりやまし)、公益社団法人日本歯科医師会及び公益社団法人福島県歯科医師会が協同して、福島県において「おいしく食べよう、楽しくすごそう~ようこそ!うつくしま、ふくしま。~」をテーマに「第40回全国歯科保健大会」を開催しました。

これらの運動や取組を通じて、歯科口腔保健における食育を推進しています。

 

教育振興基本計画28

2025/03/06

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の方向性)

○「令和の日本型学校教育」答申で提言された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」は、多様な子供の状況に応じた学びを進めるとともに、多様な他者と学び合う機会を確保するものであり、共生社会の実現に向けて必要不可欠な教育政策の方向性である。また、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムを推進していくことも重要である。高等教育においては、グランドデザイン答申をはじめとする累次の答申・審議まとめ等において、多様な価値観を持つ多様な人材が集まるキャンパスにおいて、一人一人の学生の学修意欲を喚起し、学修者本位の教育を提供していく方向性が示されている。こうした目指すべき教育の方向性を共生社会の実現という観点から改めて捉え直し、教育に携わる者が共有した上で、日常の教育の営みの中に取り込んでいかなければならない。

○その際、第3期計画期間中に飛躍的に整備されたICT環境を効果的に活用していく必要がある。GIGAスクール構想による1人1台端末や高速通信ネットワーク環境の整備などにより、距離や場所、時間の制約が取り払われ、様々な国や地域との交流が容易になるとともに、へき地における教育環境の充実や、登校できない子供の学びや交流の機会の充実が可能となっている。また、デジタルの特性を生かした障害のある子供や外国人児童生徒等のアクセシビリティの向上も期待される。ICTを活用した新たな取組の実践を通じて、一人一人の状況やニーズに応じたより良い教育環境を目指していく必要がある。

 

食育推進施策の基本的枠組み 85

2025/03/05

事例:地域高齢者の「通いの場」での「兵庫県版フレイル予防・改善プログラム」の活用

兵庫県

県民が生涯にわたって健康で暮らすためには、働き盛り世代のメタボリックシンドローム対策に加えて、高齢期のフレイル予防・改善対策(以下「フレイル予防」という。)に取り組むことが重要です。フレイルには低栄養が関連しており、平成28(2016)年度時点で兵庫県の低栄養傾向(BMI≦20kg/m2)の高齢者の割合は21.7%と、全国の値(17.9%)と比較して高い状況です。

そのため、兵庫県では、「フレイル予防の3ヶ条」として、<1>体重減少に要注意、<2>しっかりかめるお口をつくる、<3>1日3回、3つの皿をそろえて食べるを柱とし、兵庫県医師会、歯科医師会、栄養士会、歯科衛生士会等の関係団体や配食事業者、市町介護予防部局と協働で、「兵庫県版フレイル予防・改善プログラム」を作成しました。

このプログラムでは、通いの場やサロンなど高齢者が集う場におけるフレイル予防・改善プログラムの実践メニューとして、フレイル予防教室「はじめて編」、「ちょこっと編」、「しっかり編」及び「個別相談編」の4パターンの例を示しています。その中で、高齢者が自らフレイル予防に取り組めるよう、<1>栄養と口腔についてクイズ形式で解説する動画の活用、<2>地域高齢者が集まり交流する通いの場において、配食事業者を活用したフレイル予防・改善食の会食と管理栄養士、歯科衛生士による栄養・健康教育の実施、<3>フレイルが疑われた場合の医療・介護サービスへの連絡体制の構築等の事業を実施しています。

これまで、市町における地域高齢者の通いの場では、健康体操など身体機能の向上を目的とした取組が中心でしたが、令和2(2020)年3月時点の調査では、県内全41市町のうち32市町が本プログラムを活用して、フレイル予防教室を実施しており、6市町が活用に向けて検討中という結果でした。

「兵庫県版フレイル予防・改善プログラム」の流れ

活用事例として、洲本市(すもとし)では、市内15か所の通いの場において、適切に栄養管理された配食弁当を教材に栄養状態の改善や口腔機能の向上に一体的に取り組むための「はじめて編」を実施しました。また、「フレイル予防のための自己点検表」(以下「自己点検表」という。)を用い、アセスメントした結果、訪問指導や適切な医療サービスにつながった事例もありました。さらに、ショッピングセンターなどの生活拠点の場においても、自己点検表を用いて自分のフレイル状態をチェックするなど、日常的に健康づくりを意識できる魅力的な取組に拡充されました。

令和元(2019)年度は、県内全域でより効果的なフレイル予防対策を推進するため、本プログラムの活用研修の実施や先進事例の共有に加えて、オーラルフレイル(*1)予防の体制整備に向けても検討を進めました。

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