80(4)履修主義・修得主義等を適切に組み合わせる 4 2023/06/16 『○「個別最適な学び」及び「協働的な学び」との関係では, ・個々人の学習の状況や成果を重視する修得主義の考え方を生かし,「指導の個別化」により個々の児童生徒の特性や学習進度等を丁寧に見取り,その状況に応じた指導方法の工夫や教材の提供等を行うことで,全ての児童生徒の資質・能力を確実に育成すること, ・修得主義の考え方と一定の期間の中で多様な成長を許容する履修主義の考え方を組み合わせ,「学習の個性化」により児童生徒の興味・関心等を生かした探究的な学習等を充実すること, ・一定の期間をかけて集団に対して教育を行う履修主義の考え方を生かし,「協働的な学び」により児童生徒の個性を生かしながら社会性を育む教育を充実すること が期待される。 ○その際,これまで以上に多様性を尊重し,ICT等も活用しつつカリキュラム・マネジメントを充実させ,発達の段階に応じて,全ての子供たちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実していくことが重要である。』 小学校、中学校でもすでに習熟度別の授業が行われています。子どもの進捗状況、習熟度に合わせた授業が行われているのです。一人一人に合わせた支援となっているものの、やはり勘違いをしてレベルの高いクラスで学ばせたいといった大人の声もあるでしょう。これら取り組みはすべての子どもたち一人ひとりに寄り添ったことだと思いますが、学ぶ側、教える側の双方の過誤がないようにしなければなりません。教科によってはゆっくりだとか、どんどん進むだけの力がついているとか、生活や教科すべて個別に多様なのです。集団を前提に習熟度別や順番に交代で行う教育方法が今や当たり前で、一つの学年で同じように同じことをしては伸ばすこともフォローすることもできないことが明らかなわけで、教育方法の変革にも早く気づき対応することが大切です。
「対話」がもたらす3つの影響 2023/06/16 豪田監督はこう話しています。 1.その子なりの力がのびていくこと。聴く力、表現する力、思考する力、想像する力、語彙力、タイミングを見極める力など。 対話は相手がいることなので、相手と関係性の中で場を良くしていく力や仲間意識、共感性なども育まれると感じます。また「何でも話していい居場所」があることで、自尊心や自己肯定感が育まれている。 2.子どもたちを取り巻くさまざまな社会問題の解決につながるのではないかということです。対話を重ねることで話してみないと分からないこと、話してみたら分かり合えることがあると気づくことができる 3.将来をつくる力です。たとえば、年中から高校まで週1回「対話の授業」があったら、それまでに400〜500回は対話ができるんです。自分の思いを話す、相手の話を聞くという経験を重ねることで暴力、暴言、DV、依存症などのコミュニケーション上の社会問題の予防になるのではないか。 子ども同士の対話を大切にしたいと思います。対話をすることで共感を得、共同体をうまく作っていけるのではないかと思います。相手を批判したり、責める事ばかりでは「将来」は作れませんよね。
こどもかいぎ 2023/06/15 5/27の熊本市保育園連盟の保育研究大会の講演は、「こどもかいぎ」の撮影監督の豪田トモさんをお招きしての講演会でした。 映画『こどもかいぎ』は、子どもたちが「かいぎ」をする保育園を1年間に渡って撮影したドキュメンタリー作品です。「こどもかいぎ」では子どもたちが輪になって自由に話し合います。何を話してもいいけれど、相手の言うことはきちんと聞くのがルール。テーマはそのときによってさまざまです。ふしぎに思うこと、最近知ったこと、保育園でいやなこと…。「こどもかいぎ」では結論を出すわけではありません。それぞれが自分の思いを伝え合う中で、子どもたちは成長していきます。子どもたちは、 自分にも相手にも全力でまっすぐ。気持ちを伝えるというのは単に「言葉で」だけではありません。 子どもたちは何を考え、自分の可能性や、人と人との関係をどのように育んでいくのでしょうか。映画『こどもかいぎ』、そこには社会の中で生きていくために大切なヒントがあふれていました。 コロナ禍だからこそ、対話をテーマにしたこの映画を届けたい。「この子たちは、きっと言いたいことがあるはず。大人は子どもの声を聞けているんだろうか」 「対話」とは、思考と思想を交換するもの。「会話」というのは、感情と情報を交換するものだと思っています。「対話」というのは、思考と思想を交換するものだと思っています。会話よりも、もっと深いところにある、考えていることに根ざしている哲学を相手に伝えるものではないかと感じています。 相手の思考や思想を交換することとは、相手に共鳴したり共感をすることに感じます。とてもいいお話でした。
79(4)履修主義・修得主義等を適切に組み合わせる 3 2023/06/15 『○全ての児童生徒への基礎・基本の確実な定着への要請が強い義務教育段階においては,進級や卒業の要件としては年齢主義を基本に置きつつも,教育課程を履修したと判断するための基準については,履修主義と修得主義の考え方を適切に組み合わせ,それぞれの長所を取り入れる教育課程の在り方を目指すべきである。高等学校においては,これまでも履修の成果を確認して単位の修得を認定する制度が採られ,また原級留置の運用もなされており,修得主義・課程主義の要素がより多く取り入れられていることから,このような高等学校教育の特質を踏まえて教育課程の在り方を検討していく必要がある。』 既に欧州、保育の発祥地であるドイツにおいては、就学前の施設から小学校へ進級するにあたり、学年をSTAYすることもできるのです。日本では落第といった誤解も生じますが、子どもが習熟の到達度によって学校に上がることを保留することができるのです。そこには、小学校中学年8歳となったら、どういった上級学校に進むのかを判断しないといけないからなのです。学問を進める、技術を身に着ける、どういった職について社会を構築していくかを決めなければならないからこそ学校に進級するときに相当な慎重な選択をするそうです。決して落第ではなくSTAYしてとどまり、しっかりと履修修得できる準備ができるかどうかを判断するようです。だから日本においてよく言葉にする「〇歳になったのに」という年齢で子どもの習熟などを決めつけてしまう化石のような言葉が用いられるのではないでしょうか。そういった言葉がヒトの意欲をなくしてしまうことなのです。
俳句4 2023/06/14 「感情を言葉にできるか」は生存に関わる問題 人間は、言葉でしかわかり合えません。自分の感情を言葉にして伝えることができなければ、自分は世界にたった一人、というような気持ちになっていきます。誰もわかってくれない、認めてもらえないという思い込みを持つと、自分なんて消えてなくなってもいいような存在だと考えてしまいかねない。 いじめや差別も、結局は「言葉の技術」が身に付いていないことに起因すると思います。ニュアンスが伝えられないと、いきなり手を出したり暴れてしまったり。 そうならないように、少なくとも自分の思っていること、嫌なら嫌という感情や、美しいものを見たときに心にあふれてくるものを言葉にできる、そういう技術を義務教育の間に身に付けさせてあげなければなりません。 その子の生存に関わることですから、大人は言葉を育てる大切さにもっと真剣に向き合ってほしいですね。 俳句とは「かくあるべし」と構えたら、俳句の楽しさは伝わりません。それよりも、子どものつぶやきを集めて一緒に季語を考えたり、景品目当てに俳句コンテストに応募してみたり、軽い気持ちで始めてみればいいんです。 とにかく、やってみなければ、面白さなんてわからない。だから、大人も子どもも一緒になって一句詠んでみましょう。 ヒトの進化において言葉が暴走して争いを起こす要因となったことを以前お伝えしました。「言葉の技術が身についていない」このことに尽きると感じてしまします。大人間での誤解や勘違い、子ども間での誤解や勘違い。そう受け止めると誤解も解けるように思います。子ども同士であれば間に入り仲介もできますが、大人間においてはどうしても「メンツ」に拘り、解決に導くことができないことが多くあります。メンツについても以前お伝えしました、互いが理解をしようとすること、合意できなくとも相手の意見を受け止める、折り合いをつける、批判でもなく、責めることでもないと思います。言葉はとても大切ですね。園では時々「実験遊び」なども行います。STEAM教育の一環ですが私たちの取り組みにおいては、やはり子どもの気づき、「ことば」を引き出すことを重要視しています。語彙力やコミュニケーションに役立てばと思います。